ドイツは死のグループに。ファン・バステンは苦笑い。EURO2012組み合わせ抽選会
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ファン・バステンが演出した《死の組》
元オランダ代表ストライカー、マルコ・ファン・バステンは、めったに笑わない男だ。47歳と年齢を重ねた彼は最近、オランダサッカー中興の祖である故リネス・ミケルスに「ますます似てきた」と言われている。口を真一文字に結び、常に不機嫌な表情を漂わせ、眉間にしわを寄せ、どんな時も勝利のことしか頭にない。それがミケルスであり、最近のファン・バステンだ。
ファン・バステンは指導者としてのキャリアが短いため、監督としての実績は長年にわたってオランダサッカー界に貢献したミケルスの足元にも及ばない。どうやらそのことがコンプレックスになっているようで、現役を退いてからのファン・バステンが屈託ない表情で笑う姿を目撃した者はほとんどいないと言われている。「笑顔を忘れたマルコ。そこには安らぎも楽しさもなく、ただ冷たい空気だけが流れる」。決して真実ではないが、そんな非情な風評さえ生まれた。
昨年12月2日、その《笑わぬマルコ》が久々の大舞台に登場した。場所はウクライナの首都キエフ。今夏開催されるユーロ2012の組み合わせ抽選会で、ジネディーヌ・ジダンやピーター・シュマイケルといった伝説の名手とともにくじを引くプレゼンテーターとして姿を見せたのだ。透明の抽選ボックスに手を入れ、国名の記された札を公開していくファン・バステン。最初のポットA、グループBで自身の母国オランダを引き当てると、ポット4、ポット3と抽選が続き、最後のポット2で、何とドイツをグループBに招き入れてしまった。くじを引く直前まで口をへの字にしていたファン・バステンは、「Germany」と印刷された札を広げた瞬間「え、本当かよ?」といった表情で相好を崩し、苦笑いを浮かべた。そして一瞬だが、軽いため息をついたようでもあった。ドイツとオランダ。よりによって《永遠のライバル》が同組に振り分けられてしまったのだ。これには会場にいた人々ばかりか、テレビの実況アナウンサーまでもが悲鳴を上げ、「ドイツのくじ運の良さが失われた」と叫ぶほどだった。
両国の因縁については改めて説明するまでもないだろう。始まりは1974年の西ドイツ・ワールドカップ(以下W杯)で、両者は決勝で顔を合わせ、逆転の末に地元の西ドイツ(当時)が優勝している。同じく西ドイツで開催された88年のユーロでは、西ドイツを準決勝で破ったオランダがヨーロッパ王座に就き、90年のイタリアW杯では逆にベスト16でオランダを破った西ドイツが大会を制している。
くじ引きの最中、ファン・バステンは何度も笑顔を見せた。こんな結果になったからこそ、余計に愉快だったのだろう。隣に立つジダンは昔からファン・バステンを良く知る人物だが、「彼がこんなに笑うなんて」と、まるでエイリアンを見るような驚きの視線を送っていた。実際、ファン・バステンがあれほど満面の笑みを見せたのは、ユーロ88でドイツを2−1で破る決勝ゴールを決めて以来、実に23年ぶりのことだ。
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